平成29年10月
三世代7人家族で育った私は、小さい頃から、母が介護をする姿を見ていました。その頃はまだ介護保険制度というものはなく、介護は『家』という閉ざされた空間で行なわれていました。祖父は重度の認知症で、24時間365日目が離せない状態でした。当時は有効な対処法も分からず、母は疲労困憊した様子でした。そんな母の姿を見て、私は「母のように介護で大変な思いをしている人を助けたい」と思うようになりました。
現在私は、ケアマネジャーとして働いています。依頼のあった家庭を訪問して話を伺い、様々な支障を見出すのだが、その中で私は介護者を自分の母親と重ねてみてしまいます。夜は眠れているか?食欲はあるか?自分の時間は持てているか…?介護サービスを受けるのはご利用者本人だが、自分の立てた介護計画でご利用者の生活が安定し、介護者が安堵の表情を見せてくれた時、私はなんとも言えない気持ちになります。母親の手助けができたように思えます。
母が介護で大変なとき、私は何もしてあげることができませんでした。だから今、担当利用者の介護者を通して、親孝行が出来ていると感じられる事が、この仕事のやりがいとなっています。これからも、母のように介護で苦しんでいる多くの介護者の手助けとなりたいと思っています。